SPONSOR INTERVIEWSGHIT Fundとスポンサー企業が
共有するビジョン
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株式会社セールスフォース・ドットコム
上田 圭祐
非営利セクター担当営業
渡辺 敏和
セールスエンジニアリング本部
サービスクラウド スペシャリスト
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遠藤 理恵
ディレクター
Salesforce.org
ケン ワカマツ
プロダクトマネージメントディレクター
石島 正裕
セールスエンジニアリング本部
リードソリューションエンジニア
“ビジネスと社会貢献の両輪でともに高め合い成長していくことを目標として活動しています。”
石島 正裕氏
主軸事業と社会貢献活動の両輪
ワカマツ セールスフォース・ドットコムは1999年にサンフランシスコで設立され、翌年の2000年に日本法人が設立されました。設立から18年しか経っていない比較的若い会社ですが、ソーシャル・モバイル・AIテクノロジーを活用したクラウド型CRM(顧客管理)サービス を提供し、あらゆる顧客一人ひとりに最適化されたやり取りを実現し、つながることを支援しています。
遠藤 1999年の会社創立と同時期に社会貢献部門であるSalesforce.orgを立ち上げて、ビジネスと社会貢献の両輪でともに高め合い成長していくことを目標として活動しています。会社が大きくなった後、あるいは利益が出てから活動を始めるのではなくて、最初からコミュニティの一員として支援することが大切なことだと考えています。「1-1-1モデル(セールスフォース・ドットコムの人々、テクノロジー、リソースの活用により、世界中のコミュニティを向上すること。)」という考え方に基づいて、社員の就業時間の1%を使った社員のボランティア、NPOに対する弊社のテクノロジーの提供、NPOに対する戦略的投資を行っています。支援対象は幅広く、弊社の製品を使用しているNPOや教育機関が、現在、世界で3万1000団体ほどあります。活動内容は教育支援や高齢者支援、環境問題解決など、組織によってさまざまです。
上田 具体的には、NPO法人、認定NPO法人、公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、宗教法人、更生保護法人で、それらの法人格を持ったお客様に対して主に顧客管理のためのツール(Customer Relationship Management:CRM)の提供を行っております。イベントの管理や、会計管理、帳票管理など、組織によっていろいろな使い方をして頂いています。一般的な代表例としては、寄附金の管理や寄附者様の管理、会員様の管理で使って頂いています。
遠藤 私たちは、教育支援をすることによって教育格差をなくすこと、そしてその先の若者の就業に向けたキャリア教育をしていくことで、イクオリティ(平等)を追求するという強い想いがあります。企業としてできることに関わっていくことは当然だと思いますし、弊社のテクノロジーが問題解決の一助になれるということは、とても光栄なことだと思っています。
“いろんな製品プラットフォーム含め統合的に効果的に使っていただいて、それによって皆さんの活動がさらに大きくなっていったら本当にうれしいなと思っています。”
遠藤 理恵氏
専門性を活かす
遠藤 セールスフォース・ドットコムには「Ohana(ハワイ語で「家族」)のカルチャーがあります。社員やお客様、パートナー企業様もNPOも、私たちのコミュニティに関わるすべての方を「Ohana (家族)」として大切にするという文化です。このカルチャーの下、すべての社員が積極的に多種多様なボランティア活動を行っています。ボランティア時間の10%程度が、スキルや専門性を活かしたプロボノです。プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」が語源です。会社としてもできるだけ社員の一人一人のスキルや専門性を生かすプログラムを増やそうと思っています。テクノロジーのスキルを持っていることに加えて、例えば法規のプロ、ファイナンスのプロ、人材のプロとか、いろいろな専門性を持っている人がいますので、プロボノとしてもさまざまな活動が出てきています。現在、GHITに対しては4名の社員が専門性を活かしてプロボノを行っています。他の事例としては、例えば人事面接のプロであるリクルーターたちが、海外にルーツを持つ子どもたちが日本の公立高校に通えるように面接や自己PRの支援をしたり、正規就労をしていない若者の就労支援プログラムを行っています。
渡辺 私の経験では、これまでボランティアをビジネスモデルに組み込んでいる会社はありませんでした。一方で、弊社にはプロボノ活動を積極的にやっていきましょうという機運があって、今までいろいろと挑戦してきました。システムの導入部分や、運用方法など、私が今まで培ってきたテクニックの部分の経験を生かしつつ、時には専門性を超えて、プロボノという形でNPOの活動に貢献できるというところが私としても非常にうれしく思います。また、普段なかなか接することのないNPOの方たちのお話を聞いて、情熱や思想に深く共感をしましたし、私自身も今後何かできることはないかということを考えるきっかけにもなっています。
プロボノを通じて成長する
遠藤 プロボノを推進している立場としては、プロボノをしてどんないいことがあったのかを、多くの社員が自分の言葉で語ってくれるのが嬉しいですし、会社の内側にもたらされるものはたくさんあります。例えば、普段はお客様に対して「この製品でこういうことができますよ」と提案する立場ですが、プロボノをすることでお客様の立場で自分たちの製品を見たり考えたりするような機会が出来るので、今後のビジネスのお客さまとコミュニケーションするときに非常に役に立つと思います。あと、プロボノというのは、経験やスキルのある人たちが出来ることのように見えますけれども、ジュニアレベルの人にも良い影響があります。例えばジュニアレベルの人たちが年上の人と一緒に携わることによってスキルアップの経験になったり、プロジェクトをリードすることによってプロジェクトマネジメントやリーダーシップの経験を培うことができています。なので、何かさせていただく、というようなことは本当におこがましくて、それをすることによって弊社の社員も成長の機会をいただいていると感じています。
上田 私は営業を担当していて、毎日多くのNPOと関わること自体が大きな学びになっています。各団体で取組む課題や業務が異なりますし、1日3件のアポが入っていたりすると、それぞれご提案する内容も異なるので、難しさを感じつつも、世の中にこれだけいろいろな社会問題があるのだと勉強になります。また、一つのNPOで学んだことを、ほかのNPOやビジネスの場面で、お客様にご提案やフィードバックできるという意味では非常にやりがいがあります。GHITとの関わりでも、弊社の製品でどのようなシステムが提案できるかの議論を経て、予想以上に広範囲を私たちの製品で構想できることが分かったことで、弊社の製品がNPOの業務改善に大きく貢献できるという気づきを得ることができました。私だけではなく他の社員も、プロボノを通してNPOと接することによって、いろいろな学びになっていると思います。
渡辺 民間セクターはやはり企業なので、最終的には利益を得ることが求められます。その利益を得るために顧客満足度を高める取り組みをしたり、お客様に対してカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を提供したりしますが、結局は売上につなげることが必要になります。今回GHITに携わって強く感じたのは、こういった活動を支援することによって、社会的な活動というところに直接サポートできるというところが、感覚としては大分違うと思います。本業以外にも、プロボノを通じて、社会貢献がちゃんとできるというのはうれしいことだと思います。
石島 やはり、私たちのお客様は大企業が多く、各企業の社会的価値、企業価値のなかで税収や雇用などの面で社会貢献をしていると思うのですが、やはり間接的です。一方でNPOの皆様は直接的な社会貢献になるので、そこに対して自分たちが知っているテクノロジーや自分の経験を生かして、すぐに社会貢献に繋ぐことが出来るというところが、今までやっていたビジネスとは一番違うということを強く感じています。
上田 具体的には、現在GHITに提供しているものが、弊社のSales Cloudという営業支援サービスをNPO向けに割り当てたLightning Enterprise Editionと、顧客やパートナー、社員がビジネスで繋がるためのコミュニティを構築するCommunity Cloudという製品を、NPO価格で提供しております。ですが一番は、弊社の非常に能力も高く経験知もあり、行動性の高い社員がプロボノ活動に関わって貢献しているということです。GHITの場合ですと、ワカマツは製品開発の観点からGHITの要望やニーズに応じて助言を行っています。石島と渡辺はSalesforceのツールを用いて、基幹システムの課題の改善方法について、また将来の事業拡大に合わせたツールの有効活用について、全体的なコンサルティングを行いました。
上田 圭祐氏
渡辺 敏和氏
“弊社は、GHITのトラスティッド・パートナー(信頼されるパートナー)になりたいと考えています。GHITが5年後に何を目指しているか、どういったことを課題にしているのかというのを一緒に理解して、それに弊社の製品を併せて、共にレベルアップしていければいいなと思います。”
ケン ワカマツ
GHITのユニークネス
遠藤 GHITの優れた点は、日本発というのももちろんですが、企業の巻き込み方が大きなポイントかなと思っています。企業に支援を依頼しているのではなく、参画しているパートナーが、GHITの設立や発展に対して非常に主体的に取り組んでいるように感じています。産官学のパートナーシップは、各企業の当事者としての意識と、当事者がリソースを積極的に出していくかが何よりも成功の鍵だと思いますので、そういった点で、ほかの社会的な動きの大きなお手本にもなると思いますし、それこそが弊社がスポンサーとして参画する理由だと思います。
また、個人的に、研究者の皆さんに対して財政支援することを、助成ではなくて投資と呼んでいることにすごく共感しています。研究をするにしても、投資という言葉で全然受け取り方も違うと思いますし、その投資を受けて開発をしている方たちは、将来のために自分たちがとても期待されている意識が芽生え、世界を変えていくという思いを新たにすると思いますし、いろんな意味で先進的なおもしろい取り組みをされていると思います。ぜひ産官学のパートナーシップのすばらしい事例としてこれからも発展していただきたいと思っています。
セールスフォース・ドットコム×GHIT
ワカマツ 今のGHITは、データマネジメントに関しては、まだ改善できる要素がたくさんあります。今後弊社のテクノロジーを使っていろんな情報やビジネスプロセスや情報が整理されたら、もっと伸びていくと感じていますし、期待しています。将来、Salesforceでデータマネジメントを行ったり、深層学習のようなAIテクノロジーを採用することも可能となるでしょう。GHIT専用のデータモデルがつくられ、資金運用についてのデータが蓄積されるようになります。それをもちろん人間が分析することも可能ですし、AIを使って分析をするようなサービスを利用することも可能になります。
5年先のことを考えると、弊社は、GHITのトラスティッド・パートナー(信頼されるパートナー)になりたいと考えています。GHITが5年後に何を目指しているか、どういったことを課題にしているのかというのを一緒に理解して、それに弊社の製品を併せて、共にレベルアップしていければいいなと思います。
上田 GHITが扱う資金を、正確に分析をしてどれだけ活動に効果があるのかということを示すことによって、今後も資金調達が可能だと信じています。資金が増えれば、GHIT自体の活動が大きくなり、さらにできることや組織自身の持つ力が大きくなっていくと思っていますので、そういうところで弊社のテクノロジーが貢献できると思います。実は、日本はNPOの世界はまだまだ小さいです。弊社の製品を活用するNPOは、グローバルでは3万1000団体もありますが、日本ではまだ1,000に満たない状況ですので、NPOセクターでの大きな事例というのも少ない状況です。なので、私個人の思いとしては、いろんな製品プラットフォーム含め統合的に効果的に使っていただいて、それによって皆さんの活動がさらに大きくなっていったら本当にうれしいなと思っています。今後もトラスティッド・パートナーとして、プロボノももっといろんな人を巻き込んで、一緒に飛躍していきたいと思っています。
本インタビューに掲載の所属・役職名は、2017年のインタビュー公開時のものです。
- 略歴
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上田 圭祐
非営利セクター担当営業
渡辺 敏和
セールスエンジニアリング本部
サービスクラウド スペシャリスト遠藤 理恵
ディレクター
Salesforce.org -
ケン ワカマツ
プロダクトマネージメントディレクター
石島 正裕
セールスエンジニアリング本部
リードソリューションエンジニア